「共」に「生」きる。 in 阿蘇

游人たちの歌・第二章・二、地域の人々とともに生きて 、

  作業所となる店の大工仕事は、終日、手作業の中、行われていった。 店舗は、こんなこともあろうかと自宅を兼ね、マサミ江が夫の反対を押し切って買っておいた一階で、もとは焼き肉屋だった。できるだけ金がかからないようにプロに頼 […]

第二章・三、『こだわり』という名の氾濫

  内装工事もかなりすすんできた年の瀬の迫った十二月、担任していた児童の保護者の紹介で宅配便のアルバイトを始めた。 宅配便の最後の日のことだ。前日、私はトオルからテレビ局へまた手紙を送ってほしいことを頼まれ、その文面を家 […]

第二章・四、超えることのできない現実へ、再び

~ 草花の開く季節がやってきた。早いもので作業所づくりに着工して一年がたち、いよいよ、小規模作業所『夢屋』のオープンが、一週間後の四月六日に迫っていた。 早朝、四時過ぎに電話のベルが鳴った。マサミからだった。何事かあった […]

第三章・『夢屋』での障害者たちとの出会いと別れ           一、集い始めた仲間たち

  トオルが一時的に三気の里にあずけられてから、夢屋はしばらく灯の消えたような状態だった。それでもトオル以外のメンバーもさっそく現れた。  ミチコさんだ。夢屋がオープンする三年ほど前、彼女は、娘さんが就職のため親元を離れ […]

游人たちの歌・第三章・二、施設、家庭、それから夢屋。

 ノリオさん、レイナさんが常時メンバーとして加わり、ケンジさんもときおり顔を見せだした十一月、ついにトオルは一時帰宅を果たした。金曜に三気の里へ私が迎えに行き、車で夢屋に向かう。一泊後、土曜にマサミが家から送っていくとい […]