『ダスト・イマージュ』/その六
里子にそう言われてみれば、ぼくにしても篠見の前学期の後半に見せた行動は、少々合点のいかないことが多かった。 事実、篠見はぼくにも金を借りにきていたのだ。額は五千円で、さして大した額ではなかったが、他の生徒には言わない […]
『ダスト・イマージュ』/その七
「さっきは、ごめんなさい」 声は、既にいつもと変わらぬものに治まっているようだった。ただ、髪が乱れたふうに無造作に縦に流され、顔色が明りのせいか艶立ったものが感じ取れず、今まで寝てたにしろ起きてたにしろ、躰の調子自体 […]
『ダスト・イマージュ』/その八
「あの子、見かけよりけっこう変わってて、神経質なのよね。それに考えようによっちゃ、とんでもない子かも知れない。私、最近、また体調おかしくなってきていて、自分で自分の頭の中が苛々して、眠れなくってどうしようもなかったもん […]
『ダスト・イマージュ』/その九
「あの子、見かけよりけっこう変わってて、神経質なのよね。それに考えようによっちゃ、とんでもない子かも知れない。私、最近、また体調おかしくなってきていて、自分で自分の頭の中が苛々して、眠れなくってどうしようもなかったもん […]
『ダスト・イマージュ』/その十
新学期が始まり、それまで、前学期の終わりから尾を引くように飛び飛びながらも姿を現していた篠見が、二月半ばになってぱたりと来なくなって二週間たった。 社長は、その理由についてはっきりとした理由を生徒たちにも、また他の講師 […]