「共」に「生」きる。 in 阿蘇

『白ねこと少女』その2

 2 おばあちゃんが飼っていた白いねこ  絵里が、小学校へ行かなくなって、一年になります。  三人が、今のアパートにきて半年がたち、統合された学校や生活に、そろそろなれだしたときです。  その日、和子は、仕事先の市役所の […]

『白ねこと少女』その3

 3 消えてしまった白いねこ  井手向こうに飛びはねていってからというもの、白いねこは、絵里の目の前にあらわれなくなりました。  「どうしたのかな」  絵里は、しばらくの間、なにもいないかわらを眺めては退屈な思いですごし […]

『白ねこと少女』その4

   4 瞳の奥の白いねこ  「今日の朝早くだったんだけど」か細い声で、相手はつづけました。  「おじさんは、ここにいていいの?」  絵里にとっては、精一杯の言葉でした。  島さんは、首を横にするだけです。  唇に天井か […]

『白ねこと少女』その5

5 古い写真の中の白いねこ  風邪がすっかりなおり数日して、島さんと約束した木曜日がやってきました。  その日、朝から絵里の心は落ち着きません。島さんの家に行った方がいいかどうか悩んでいたからです。行きたい気持ちがもたげ […]

『白ねこと少女』その6

  6 炎を駆ける白いねこ  その晩、絵里は近くやってくるかもしれないことを想像しました。  場面は、昼下がりの午後です。  買ったばかりの服に着がえています。買い物でえらんだ黒っぽいワンピースです。  彼女の足はまよわ […]