第三章・『夢屋』での障害者たちとの出会いと別れ 一、集い始めた仲間たち
トオルが一時的に三気の里にあずけられてから、夢屋はしばらく灯の消えたような状態だった。それでもトオル以外のメンバーもさっそく現れた。 ミチコさんだ。夢屋がオープンする三年ほど前、彼女は、娘さんが就職のため親元を離れ […]
游人たちの歌・第三章・二、施設、家庭、それから夢屋。
ノリオさん、レイナさんが常時メンバーとして加わり、ケンジさんもときおり顔を見せだした十一月、ついにトオルは一時帰宅を果たした。金曜に三気の里へ私が迎えに行き、車で夢屋に向かう。一泊後、土曜にマサミが家から送っていくとい […]
游人たちの歌・第三章・三、父親の死、そして……
一九九九年四月十九日、トオルの父、テツオさんが突然の交通事故で亡くなった。 深夜、自転車で道路を帰宅途中、前方不注意の大型トラックに巻き込まれたのだ。まだ五十歳になったばかりだった。晩年、澄江との関係が悪かったと言って […]
游人たちの歌・第三章・四、惜別と悲しみを乗り越えて
世の中がプレミアムで沸き立った二000(平成一二)年の二月十日未明のことだ。 突然にノリオさんが逝った。 コーヒーを飲みかけのまま、炬燵で硬くなっていた。流しには吐いた跡があり、その後具合が悪くなったらしい。心不全 […]