『具体的な風』・その十
孝は、延也の真後ろで試合を見学していた。一回戦で勝った興奮がまだ冷め切れていない。全身を流れる血の鼓動がいつもより早く鳴りつづけ、信じられない気持ちも半分胸のどこかで顔を見え隠れしている。 孝は、今やった自分たち […]
『具体的な風』・その十一
延也と京子の進行でお別れ会の話し合いが始められてから、孝は退屈な気持ちになっていた。浮かれたように飾り付けやプログラムのことについて意見を出し合う皆の姿がとても自分には縁遠いことのように思われたからだ。どうして、そ […]
『具体的な風』・その十三
ホイッスルが鳴った。孝たちの眼前で行われていた一回戦の試合が今終了し、二回戦の対戦相手はK小と決まった。 試合の行われていない体育館の向こう側で、青野が皆を呼び寄せている。空いているコートを利用して少しでも躯をほぐし […]
『エデュケイショナル・スノウ』そのニ
第一の報告 総司令官閣下、先頃、この地域の教育を司る機関の独自の調査によって、小学、中学就学者数の発表に合わせ、地方公共団体の設置した公立並び監督庁の認可する学校法人等の管轄内にある教育施設 […]