「共」に「生」きる。 in 阿蘇

『伝言』・その六

 六  杉ばかりと思っている土手も、一歩上がると下草がはびこり、年を越し一段と勢いが衰えたとは言え、刺のある蔦や茎の枝がズボンや靴下の布地に絡み、まとわりついてきた。それでも枯れたものは踏みしだくと心地いい音をたて折れ曲 […]

『伝言』・その七

    七  山小屋へいっしょに行ってほしい。 脩一は、メモ用紙に書いて、奈美へ渡した。 「これから……、もちろん、いいけど……どうして」  それには脩一は答えず、ただ黙って奈美の顔を凝視した。そこから小屋までスムーズに […]