『白ねこと少女』・その1
白ねこと少女 1 やねがわらの上の白いねこ 絵里は、小学五年生になる女の子です。アパートの二階に住んでいます。まわりには、まだ少したんぼや畑もありますが、少しずつならされ、宅地がふえて […]
『白ねこと少女』その2
2 おばあちゃんが飼っていた白いねこ 絵里が、小学校へ行かなくなって、一年になります。 三人が、今のアパートにきて半年がたち、統合された学校や生活に、そろそろなれだしたときです。 その日、和子は、仕事先の市役所の […]
『白ねこと少女』その3
3 消えてしまった白いねこ 井手向こうに飛びはねていってからというもの、白いねこは、絵里の目の前にあらわれなくなりました。 「どうしたのかな」 絵里は、しばらくの間、なにもいないかわらを眺めては退屈な思いですごし […]
『白ねこと少女』その4
4 瞳の奥の白いねこ 「今日の朝早くだったんだけど」か細い声で、相手はつづけました。 「おじさんは、ここにいていいの?」 絵里にとっては、精一杯の言葉でした。 島さんは、首を横にするだけです。 唇に天井か […]
『白ねこと少女』その5
5 古い写真の中の白いねこ 風邪がすっかりなおり数日して、島さんと約束した木曜日がやってきました。 その日、朝から絵里の心は落ち着きません。島さんの家に行った方がいいかどうか悩んでいたからです。行きたい気持ちがもたげ […]