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障害ある乗客に「ただやけん、乗れる」 バス運転手が暴言、「もう降りれ」手を振り威圧 (宮上良二/西日本新聞4.13.10:30配信)

障害ある乗客に「ただやけん、乗れる」 バス運転手が暴言、「もう降りれ」手を振り威圧 (宮上良二/西日本新聞4.13.10:30配信)

 

『熊本県荒尾市内を循環する産交バス(熊本市)の路線バスで2月、障害のある荒尾市の70代女性が、運賃が無料になる市の乗車証を示して降りようとした際、60代の男性運転手(当時)から「ただだから乗っている」などと暴言を受けたことが分かった。

女性の親族が抗議し、同社はドライブレコーダーなどで事実を確認。小柳亮社長が女性側に謝罪した。同社は「不適切な発言で不快な思いをさせてしまい心からおわびしたい」としている。

 

女性が暴言を受けたのと同じ系統番号の循環バス。

女性はリウマチ性疾患のため手足が不自由で、つえを使って歩く。重度障害のある人が、市内を走る産交バスに無料で乗れる市の独自事業の「福祉特別乗車証」を利用している。

親族と同社によると、女性は2月28日午後、荒尾市の商業施設のバス停を発着する循環バスに乗車。JR荒尾駅が目的地だったが、昨年12月のダイヤ改正で駅前を通らなくなった路線に乗ったことに気付いた。このためバスが商業施設に戻った際に、駅前に行くバスに乗り換えようとした。 運転手は、循環バスで1周した女性を見て目的もないのに乗ったと曲解。女性が乗車証を示すと「何か言うことはないのか」と強い口調で詰問した。女性が乗り間違えたと説明しても「ただやけん、暇やけん、乗られてですたい(乗れるのだ)」と運転手は畳みかけた。動転した女性が乗車証を落とし拾おうとしていると、追い払うように手を2回振り「もう降りれ(降りろ)」と威圧したという。

精神的なダメージを受けた女性は親族に相談。親族が同社に抗議した。調査した同社は3月、乗客に不適切な言葉を使い、反省もしていないとして運転手を懲戒処分(内容は非公表)にし、小柳社長が親族に直接謝罪した。再雇用だった運転手は契約期間が満了した3月末で退社したという』

 

●ひどい事件です。本当に被害を受けられた方がどんな思いでおられるか、想像するだに胸が痛みます。と言いますのも、私の母も50代後半で潰瘍性大腸炎を発症し、10年後大腸全摘出し、ストーマ生活に入り、それまでの長きにわたるステロイド剤と消化器系の低下の影響もあり、脚力が顕著に衰え、身体障がい者手帳者として、まさしくこの九州産交バスを利用し、同じショッピング施設まで行っていたからです。母の場合、ゆっくりしかできない乗車をしっかり見守りながら待っていてくれると言っていました。しかし、それはすでに15年から10年ほど前の話です。今回の場合、運転手の暴言、そこには明らかな障がい者差別があることは間違いないのですが、その後の日本社会がますます経済的にも厳しくなり、自らの労働環境や社会保障の劣化からくる苛立ちの矛先が、そのような状況に落とし込められたとき、やはりそれまでかろうじて表面化せずとも、根っこは断ち切られずに潜在していた社会的弱者への妬みの裏返しとして、赤裸々な排除と差別の言動となって向けられた典型ではないでしょうか。私は被差別部落の方から、平時のときはそれなりにふるまっているかもしれないが、いざ非常時になったとき差別的事象が露骨な形となって吹き出してくるのではないかと、いつも不安の中にいると聞いたことがあります。これはこの当時者間だけの問題ではない、だからこそ徹底的に会社だけでなく、管轄している行政(とくに荒尾市)はもちろん、教育機関も含め、その根本的課題と本質を明らかにし、差別解消に向け取り組んでいかねばならない事件であると思います。

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