「共」に「生」きる。 in 阿蘇

2025.元旦にて~無明海〜

無明海

なんさま

たまがった

纜ばむすんでな

船から降りて沖ば見っどが

そぎゃんしたら

貝が山んごつ

有明海の干潟ん

あっちにもこっちにもあるじゃなかな

普賢岳と重なって

石炭より真っ黒で

艶光りしとっとたい

 

ほんなこてたまがった

そん山がどんどん寄ってきて

おそろしゅうなって

堤防ば駆け上がったつ

干潟もぬるぬるして

生き物んごつうごきだすし

大木も転がりでてきたつばい

ありゃあ石炭の木ばい

 

有明海の神様が

怒らしたつ

海ん底ば

やりばなし堀ったくっとは

お前かて

海ば荒らして

なんばしよっか

人と争って

なんばしよっか

 

無明たい

有明の海ん神さんが

無明にならしたったい

真っ暗な

海ん底より

地ん底より真っ暗な

無明にならしたつ

 

知っとるな

あん海の一番深かとこには

大きか穴があっとよ

そらあ広くて

深かったい

 

石炭ば掘っち

坑道ば発破でつぶすどが

まるで泣きよらすごたる音ばたてて

海がしずんでいくと

 

おれが小さかとき

親父ん船でたまたま上ばとおったったい

お日さんの加減できれいに下まで見えたばい

深かった

この世のものとは思えん

有明じゃなか

無明たい

 

嘘じゃなかよ

穴ん奥は

暗かばってん

なんか誘いよらすごたるとたいな

こっちこい

こっちこい言うて

 

とつけむにゃあなあ

気色んわるうて

親父に

はよう

行かんなばて

泣きつきよった

 

そっが最近

よーく夢ばみっとよ

くるーくるまわりながら

吸いこまれていくとたい

 

いろんな顔がでてくるばい

落盤で死んだつや

争議で刺し殺されたやつ

爆発で顔も見わけがつかんごつ

真っ黒に爛れて死んだやつ

いっしょに組合で闘こうたつもおる

 

どれもこれも

恨めしか顔で

じっーと

おれば

見よる

 

目ばあくると

海んなかにおってな

地鳴りがしてくっとたい

泥や砂がゆっくりうごいて

貝や石炭ば

だれも見知らんほうに

こそっともっていきよるごたっとたい

 

ああおれもついに穴の底にきたつばいね

観念せにゃならん

虹のごたるもようもちらついて

アサリやろか

タイラギやろうか

 

黒光りして

おれん目にはいってきちゃ

小そうなったりふくらんだり

息ばしよるごたる

 

ダバばはいた女ごん衆が

ぐるってとりかこんで

腰ばかがめち

手でかきあつめよる

 

ちょうど真上ば

船もとおりよっとやろうかね

ぱたぱた音ばたてち

幟旗ば風になびかせよっとやろ

もしかすっと

資本家とぶつかりおうて

鉢巻んほどけてしもとっとかもしれん

 

風が海鳴りんごつ

ふいてきちゃあ

耳ばゆすって

ものば言よるごたる

ばってんなんて言よらすか

いっちょんわからんたい

 

おれは海ん底で

なんかおかしゅうなって

一人でわろうとると

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