「共」に「生」きる。 in 阿蘇

「夢屋だより・夏号136号」(2023.7.11発行)より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇梅雨から夏へと向かう中、皆様へご挨拶をさせていただきます。       作業所「夢屋」代表 宮本誠一

日中、温度が上昇したかと思えば、俄かに曇天し雨で気温が冷えるなど、体の適応が思うように追いつかない日々がつづくことも多いですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。体調などくずされておられないことを祈るばかりです。さて5月26日、無事に熊本大学(対象は180名の1年生)にゲストティーチャーとして講話に行ってきました。6人それぞれの自己紹介も含め1時間半、日頃の活動の様子やこれまでの思い出深い出来事を中心に進行役の私との対話形式で発表してきました。(メンバーと学生の感想は今号に掲載しております)そのとき案内して下さった4年生の方は視覚に障がいがあられ、熱心にメンバーと関わって下さり感謝しかありません。また講義終了後率直に感想をお聞きしたところ、自分が大学で受講した中で間違いなく三本に入る素晴らしいものだったと興奮気味に話して下さいました。また感想にも毎年大学へ来てもらいたいと書いて下さっている方もおられ、メンバーも自信をつけたようで、改めてこのような貴重な機会を作って下さった古田弘子教授を始め、準備から当日のお世話まで時間を惜しまず動いて下さった学生の方々に心よりお礼申し上げたいと思います。
それでは6月から8月までの行事(予定を含む)をご報告させて頂きます。
6/1農園にトマト栽培のビニールハウス完成。 6/2山下はつひさん誕生日。
6/30南阿蘇村人権作文集「しらかわ」合同研修に竹原が講師招聘 7/11『夢屋便り』夏号発行
7/24阿蘇市学校人権・同和教育課題別研修会「共生」部会にメンバー、スタッフで講話。
7/26池邉美早さん誕生日。8/5第49回部落解放文学賞授賞式(小説部門『プレート』)に宮本が出席(大阪)8/19江藤太陽さん誕生日。8/28山内裕子さん誕生日。
6/21にスイスのシンクタンク「世界フォーラム」が男女格差(ジェンダー・ギャップ指数)の世界順位を発表しました。日本は146カ国中125位で東アジア・太平洋地域でも最下位(政治は138位)とのこと。このような評価がでたらめだとか気にする必要ないと言う方もいらっしゃいますが、現実に地方議員の選挙のたび立候補者に女性がほとんどいなく(全国市議会の女性比率は16.8%/2021年度)、男性ばかり並んだ顔写真に違和感を持つ方も多いのではないでしょうか。ちなみに小学校教員の男女比は男性159068人に対し、女性263796人で3:5(2021年度)です。もちろん職種にもよるでしょうが、あまりに他の職業に比べ政治世界の女性の少なさは歴然としており、議会での政策決定に偏りが出てくるのではと危惧してしまいます。
既に世界では性自認は「男か女か」の二者択一から多様化へ向かっており、例えばパリのファッションショーでは男性用スカートもごく当たり前に登場(そもそもスカートは古代ヨーロッパでは男女問わず着用されていました)し、新たな経済効果ももたらしています。6/16日に可決し23日公布された「LGBT理解増進法」に関しても、本来は「理解」でなく差別をなくし「平等の実現」こそが目的であり、それが実現すれば当事者が幸福になるだけでなく、ファッションに限らずブライダルや衣食住の広い範囲で新たな需要が生みだされ(既に世界の資本はその流れを素早くキャッチし、どんどん進出していっています)ることで経済は活気づき、そしてひいては、障がい者の平等と個々の自立の実現も同様の効果があると思う今日この頃です。

〇5/26に熊本大学の新入生180名にメンバー、スタッフがゲストティーチャーとして日頃の夢屋の活動のお話をしてきました。感想の一部を抜粋し掲載させて頂きます。企画下さった古田弘子教授、そして最後まで真剣に聞いて下さった学生の皆さん、本当にありがとうございました。
●障がいのある人と健常者が共生していくことの難しさを学びました。三十年前、民間で作業所を立ち上げる際、数年間は補助金なしで取り組んでいかなければならず、障がいのある人も精神状態が安定しない状態が続き、ご苦労やうまくいかないことが多かったと知りました。また、現在は通常の学校にも特別支援クラスを設置するなどの政策が実施されていますが、障がいのある人の話を聞くと、健常者からのいじめが多いが現状があり、本人にとっては大きなストレスで学校に行くのが嫌になるという人も少なくないと知り、一見障がいのある人がより心地よく過ごせるようになっているようだが、実際にはそう上手くいっていないと学びました。
●最後に宮本さんが「助けなきゃという意識は持たなくていい。障がいを持つ人も一緒に暮らしているのだという意識を持つことが大事」とおっしゃっていたのを聞き、納得しました。この意識を持ち続けていきます。今回の講義を聴いて夢屋の行っていること、雰囲気、関係性がとてもよく伝わってきました。障がいといっても一つの種類だけではなく一人一人がそれぞれの問題を抱えている中で、それに合った対応をすることは大変なことだと感じました。
●代表の方が司会として話を聞いていた際、一度質問をした後、確認を取るように、念を押すようにもう一度聞くと一回目とは異なった答えが返ってくることが多かったことから気づいたことがあります。それは障がいのある方との会話では本当のこと、本当に言いたいことは簡単にはでてこないことも多いということです。コミュニケーシを取る際に相手のことを知りたいと思う気持ちをちゃんと持つことが本物のコミュニケーションにつながるのだと思いました。
●講義の中で、印象に残ったことは、小学生や中学生の時にからかわれたり、いじめられたりして泣いたことを心配するので、両親には言わずにいたとおっしゃっていたことです。この気持ちは私もわかるなと思いました。高校生の時に人間関係でうまくいってない時があり、心配をかけたくないと思い自分で解決しようとしていました。うまくいかず結局両親に相談したら、アドバイスをくれたり、慰めてくれたりして気持ちが軽くなったことを覚えています。この経験を通して相談することも大切だなと学ぶことができました。また、宮本さんの「役に立つ関係ではなくて意味のある関係になる」という言葉が印象に残っています。今思っている思いを話したいと思うような人になりたいし、そういう人を大切にしていこうと思いました。
●今回の講話を聞いて、「障がい」に対する様々な考えを持ちました。ヒロヤスさんの今までの経験や、感じたことを聞いて、言葉にすることが苦手そうだと感じましたが、言葉がつっかかりながらもきちんと人に伝えようとする姿勢を見て、聞くこちら側も、しっかりと耳を傾けてひとつひとつの言葉をゆっくりうなずきながら聞く姿勢をとることが大切であると感じました。こちらが丁寧に話の内容を聞こうとすると、伝えていることは健常者の経験や考えと何一つ変わりないことであり、ただ、言葉がつまってしまい、うまく話すことができないということを実感しました。また、トークのやりとりもとても面白かったです。そのような伝えることが苦手な障がいの方とお話したことはないので、話す機会があれば、「障がい者」としてお話しするのではなく、同じ「一人の人間」としてただ会話を楽しみたいなと感じました。
●四限目のこの授業の教室に向かっている際、下村さんと盲導犬と誘導する方を見かけました。最初に見たときは、目に障がいのある方だとはわからなく、盲導犬が、普通の犬だと思って、「かわいい!」と友達と話していました。しかし、授業に参加して、〝盲導犬〟だということを知り、周りの状況が全く見えていなかったのだと深く反省しました。確かにもう一人の方は盲導犬をつれている方を案内しており、よく周りを意識していれば気づいたことだと思います。
●自宅近くで、白杖をもった中年男性を見かけました。その方の近くを車が通り、その男性に向けてではないのですが、大きなクラクションを鳴らしました。その音を聞いた男性は、びっくりした~と驚いていらっしゃいました。しかし、私は、ただクラクションを鳴らした車に、いやな気持を抱いただけで、その男性に何も声をかけることができませんでした。なにか安心させてあげられるような言葉をかけた方がいいとは思いましたが、どのような言葉で伝えればいいかわからず、関わることをやめてしまいました。これは、自分の後悔の残る経験であり、目に障がいのある方を見て、すぐにこのことを思い出しました。そのような方を目にした場合には、安心して道路を使えるような配慮を自らの関りによってできるようにしたいと思います。
●この講義を聞くまでは、障がいの方々とかかわった経験はありますかと聞かれたら、迷わずに「ない」と言ってしまう自分がいました。しかし、最後の代表の方の熱いお言葉を聞き、確かに「あるかもと…」考え直しました。私はこれまで正直、障がい者の方は、お話しすることが難しく、伝えることも理解することも難しいと思ってしまっていて、確かに小学校や中学校に数人いましたが自ら関わろうとはしていませんでした。しかし、関わろうとしないで避けるのではなく、みんなと同じであるという今回感じたことを思い出して、これからはきちんとかかわりを持てるようになっていかなければならないと考えました。
●障害者が就職するのがかなり難しい現状についても話を聞きました。今の時代、日本では少子高齢化が進んでいるので人材が不足している職場はたくさんあります。職場の中には障害があるなし関係なく必要な場があると思います。そのような職場を世間の人々に知らせるシステムが構築されれば、もっと障害のある人が活躍できる社会になってよりよくなると思います。
●「障害者は自分とは違う」健常者はそんな考えが心のどこかにあるのだと思いました。自分自身そうした考えが心の奥底にあったと思いました。しかし、今回、-話を聞き結局のところ、僕らと何も変わらない一人の人なのだと率直に感じました。怒られるのが怖くて隠し事をしたり、好きなことに夢中になったり、夢があったり自分と一緒だと感じました。そのことからも障害者に対する情報を得るだけでなく、実際に話して、触れ合うことが大切だと思いました。

〇「母の2連続 入院」(~_~;) 中島 地利世(チトセ)

また、私の苦手な季節「夏」が近づいて来て、蒸し暑い日が続き…パン工房内もサウナ状態だから、出来るだけマスクを外して水分補給や、よほどの時は「冷えぴた」を貼るなどしながら、メンバーの仲間やスタッフの方々と一緒に一生懸命、パン作りに励んでいます。
母も私と同じ昔から夏が苦手で、最近は息切れする事も多くなってきました。5月に入った位から、リハビリ中にマッサージをして貰っていただけなのに、急に白目で呼吸困難になったり(数秒で回復)、散歩から帰宅したら動悸が激しく、汗グッショリで動けなくなる事が暫く続き、できるだけ無理させないスケジュールにして下さったのですが、ついに5月12日のリハビリ中に「酸素濃度」というのが低くなり、失神してしまいました。毎週金曜日を担当して下さっている理学療法士さんの呼びかけにも、反応がなかったので救急車を呼びました。私は、その時まだ「夢屋」にいて、帰宅したら妹から連絡が来て驚きました。妹だけ駐車場で結果待ちしているそうで、わりとゆっくり話せたのですが、理学療法士さんが救急隊員の方に明確な情報を通話しながら、素早く出来る限りの処置をしてくださったので、凄く有難く心強かったと言っていました。たまたまリハビリ中の発作でしたが、私達だけの時だったらもっと対応が遅れていたのでは…と思うと、本当に恐怖で感謝しかありません。
病院で濃度が落ち着き、意識もしっかりしてきたのでPCR検査(結果陰性)をし、そのまま入院かと思ったら帰宅できました。次週の17日水曜日~18日木曜日に検査入院をする事になり、24時間、心電図用の装置をつけたまま過ごし、様子をみるとのこと。結果、心臓がだいぶ弱っているそうで、今でも大量に服薬している上に、さらに心臓用の薬が加わる事になりました。(泣)その薬は、「使用すると認知症の進行が早まり、今より反応が悪くなりますが、使わないでこのままの生活だと心臓の調子が向上しない…」と言われ、増やす事にしました。身体に馴染ませるまで、安全の為、5月24日から31日まで1週間入院することになりました。
団体生活となると、困った事にその時の気分や思いがけないことがキッカケで精神状態が悪くなる人なので、同室の患者さんに迷惑をかけるのではと個室にしてもらい、担当の看護師さんには、とりあえず「乾電池」という言葉だけは言わない事、あとは母の前で掃除機などの音をたてない事をお願いしました。そこまでのご対応をして下さっても、まさかの予想もしなかった館内放送のチャイム音がキッカケで避難用のサイレンと勘違いしたらしく、パニックになり「ちょっと目を離したすきにいなくなってしまった」との連絡があり、看護師さんが廊下やトイレ、別の部屋まで捜しまわって下さって、母の病室に戻ると、なんと病室の戸棚の中に隠れていたそうです。(苦笑)
ただでさえ忙しい看護師さんたちに、貴重な時間を使わせてしまい、本当に申し訳なかったです。なのに、優しい看護師さんもおられ「こちらが音量設定を変えてあげれば良かったね」と母を落ち着かせてくれました。その後は、ほとんど付き添ってお世話して下さり、薬も徐々に母に合う事ができ、無事に退院できました。このまま、少しでも息切れや動悸が落ち着いてくれる事を願うばかりです。

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