「共」に「生」きる。 in 阿蘇

『夢屋だより』2018冬号(113号)からの文章をご紹介します。

今年も大変、お世話になりました。新年が平安であることをお祈りいたします。
作業所「夢屋」 代表 宮本誠一

気象庁によれば、今年は暖冬とのことですが、むしろ寒暖の差が大きく体調にも大きく影響してくるのではと心配しております。皆様、お変わりありませんでしょうか。
さて、いよいよ平成最後の年の瀬を迎えることとなりました。今年の夢屋は、2月27日に多方面で御世話になって来た竹原幸範さんとのお別れがあり、寂しい始まりでしたが、メンバーたちが今号で書いている通り、これまで以上に地元の小中学校、特に阿蘇小学校との関係が密になった一年でもありました。、蔵原地区へ移転して以来、地域の皆様にはお米を戴いたりお祭りのお誘いを受けたりと大事にしていただいてきたのですが、こちらの努力不足もあってか学校との交流が余りありませんでした。ところが7月に加悦絵里奈先生が10年目研修に来られたことを契機にパン注文を働きかけて下さるや、各先生方がパンを買って下さるばかりか、『ようこそ先輩』(キャリア教育)、『夢屋さんから学ぶ』(6年生総合的学習)と授業に呼んで下さり、メンバー、スタッフ皆で日頃の活動の話をさせていただくこととなりました。今では近所を歩いていても子どもたちが「ミヤモッチャ~ン」と親しく声をかけてくれることも増え、本当に素晴らしいつながりができ喜びに堪えません。改めて学校、行政関係者並び地域の皆様へお礼申し上げるとともに、この地へ導いて下さった竹原幸範さんに感謝と心からの追悼の意を捧げたいと思います。では11月~1月までの行事のご報告(予定も含む)をさせて戴きます。

11/3、4 阿蘇市文化祭に池邉美早さん(書道歴20年)が書道の作品を出展。
11/12『ようこそ先輩』(キャリア教育)でメンバー、スタッフで講演。
11/19阿蘇小学校6年(総合的学習)の『夢屋さんから学ぶ』に講師として呼ばれる。
11/22 阿蘇市人権フェスティバル開催。パンの即売や掲示物コーナーでの啓発活動。
11/26 一の宮小学校たんぽぽ組からパン作り体験(児童5名と職員2名)
12/3 一の宮小学校たんぽぽ組からパン作り体験(児童5名と職員2名)
12/10 一の宮小学校たんぽぽ組からパン作り体験(児童7名と職員4名)
12/12~14 一の宮中学校から職場体験(生徒1名)
1/21 一の宮小学校たんぽぽ組からパン作り体験(児童8名と職員3名)

行事日程からもおわかりのように、小中学校からの体験や学習も最近増えました。その中に私が担任したときの児童の子どもさんと出会うこともよくあります。気分はほぼ「孫」感覚でお子さんと対面しながら、当時の親御さんの表情と重ねながら24年という月日の重さと早さをしみじみ感じています。また、来年4月で熊本地震から丸三年になります。各地域、住民の皆さんがこれまで復興に取り組まれてきた姿には頭が下がるばかりですし、今なお厳しい状況で暮らされている方も多いかと思います。とかく熊本城近辺の再開発巨大ビルやJRの熊本空港へのアクセス延長案など華々しい話を耳にすることも多いですが、やはり日常の生活を取り戻すことこそ大事な出発の一歩だと思います。夢屋も皆様とこれまで通り、地道に歩ませていただけるよう努力していく所存です。どうかこれからもよろしくお願いいたします。そして、皆様にとって新年が健康で幸多いことを祈念し、冬号のご挨拶とさせて戴きたいと思います。

『平成、最後の出来事』      中島 地利世
今年も最後の「夢屋だより」になりましたので、2018年を振り返ってみようと思います。やっぱり1番は、最大の恩師「竹原幸範」さんの訃報…自分でも心の準備というか、予想していたよりもショックが大きく、今もふとお爺ちゃんの書斎だった窓を見てしまいます。
そんな中、7月には素敵な出会いが待っていました。阿蘇小学校の先生が1人「夢屋」に実習に来られる事になりました。今までも職場体験が何度もありましたが、先生の方が実習生として来るのは初めての事なので、最初は緊張していました。でも実際に「夢屋」に来られた先生は、加悦絵里奈さんという先生で、最初から明るく元気な優しい先生で、良い意味に予想を裏切り、沢山お喋りも聞いてくれて、私と年齢が1つしか離れていないので、「姉がいたらこんな感じなのかな?」と、すごく楽しいお時間でした。その後も阿蘇小学校のたくさんの先生方がパンをご注文して下さるようになって、11月には2周連続、月曜日に授業のご依頼もあり、夢屋のこと、自分達の事を発表してきました。準備が整うまで、まず校長室で校長先生や教頭先生とゆっくりお話できて、校長先生は以前は宮地小の先生だった事がわかり、私の一番下の妹の話題に持っていって下さって凄く有難かったです。時間になって体育館に入ると、全校生徒の皆さんが温かい拍手で迎え入れて下さいました。無事に進んでいき、美早さんの歌の番になったとたん、元担任されていた教頭先生が、わざわざ席を立たれてバシバシ撮影していたので、実の娘の発表会で張り切っているお父さんのようで、微笑ましい気持ちで見ていました。(笑)後日6年生の皆さんが書いてくれた感想文を読んで、「しっかりしているな~」と感心しながら読ませてもらいました。加悦先生は、授業が終わってからも、朝、私が自宅前で「夢屋」の車が迎えに来てくれるのを待っている時、前の道路が通勤コースなので、わざわざ、手を振って挨拶して行ってくれるのも楽しみの1つになりました。私も先生のような素敵な笑顔で悦びを加えられるような人になりたいです。
また、今年も無事に人権フェスティバル(11/22)に参加させて頂きました。
今年のフェスタの記念講演の講師は、3月まで放送されていた人気番組『テレビタミン』の村上美香さんが来ると聞いて、会場入りされる時、少しでも近くを通られないかな…と、すごく楽しみにしていましたが、講演が始まる前はさっと控室へ行ってしまわれたので、遠目からしか見る事できませんでした。帰り時間が近づいた時、宮本さんに頼まれた荷物を片付けに駐車場の車に置きに行って会場に戻ろうと振り返ると、何とそこにタイミング良く会場から美香さんが目の前に歩いて来られたので、思い切って「握手してもらって良いですか?」と頼んでみたら、逆に「わ~ありがとうございます」と、笑顔で手を差し出して下さいました。それまでどちらかと言うと華奢なイメージだった美香さんですが、Σギュッ!と手を握ってくれた時の握力が意外と強すぎてビックリしました。(^^; 「手がつめた~い!寒いんでしょう…気をつけて下さいね」と言って下さって、最後まで腰を低く、手を振りながら帰って行かれました。一瞬の出来事でしたが予想もしてなかったので、すごく嬉しかったです。(^^♪
こんな、色んなあれこれも全て幸範お爺ちゃんが繋いで下さった場所でお客様に支えて頂きながら、頑張って来たおかげだと感謝しています。皆様、2018年も大変お世話になりました。

地元の学校へ話に行く喜び。       下村 津代

9/13、18、21に阿蘇市社会福祉協議会からのお誘いで一の宮中、阿蘇中、阿蘇小へ、日頃の生活を話に行ってきました。それぞれの児童、生徒の皆さんは最後まで一生懸命聞いて下さり、質問もたくさん出て、行って良かったなあという思いと無事終えたことにホッとしています。
全体で感じたのが、まだまだ盲導犬のことや視覚障がい者のことが充分に知られていないなあということでした。例えば、買い物ですが、それをどうやってするかという質問の前提には、私が一人ですべてをやることがあるようです。私は実際には同行援護のサービスを受けていますし、援護者に私の要望を伝え、選んだりとってもらったり、一人で行くときも店員さんや傍にいるお客さんに聞いたりすることもあります。つまりどんなに盲導犬がいてもやれることは限られていますし、行政や周囲の方の法的支援と協力があって一つ一つの行動はできているのです。それと関連しますが、中学生から「視覚障がい者に今、何が一番必要か」という質問もありました。私は現行の福祉サービスが年齢や障がいの判定、サービス内容とやや杓子定規になってはいないかと指摘し、本当に必要な人に必要なサービスの形で受けられるよう、もっと柔軟で細やかな制度になってほしいことを言わせていただきました。
いずれにせよ私にとっても地元の学校へ話に行くことはこれからの出会いや毎日の生活と繋がりますし、意義深い時間となりました。お声を掛けてくださった社協関係者の皆様、そして学校職員、児童生徒の皆さんに心から感謝したいと思います。ありがとうございました。

11/19の阿蘇小6年生の総合的な学習の『夢屋さんから学ぶ』の感想を戴きましたので、抜粋し掲載させて戴きました。皆さんの心のこもった一言一言、本当にありがとうございました。
●障害がある、ないに関係なくより多くの人と関わっていきたいと思いました。すべての人が夢屋に来て良かったと思っているから「夢屋」はすごいなと感じました。このお話を聞いていなかったらこれから先、誰かをきずつけていたかも知れないと思いました。
●人は思っていることを書くと変わると思った。
●話を聞いて、今生きてるからこそ、今が成り立っているんだなと思いました。そして生きることの大切さや命の重さは人によってちがうかもしれないけど、そういうことを感じることは一人じゃできないことだと思いました。
●ちとせさんが「教え方を変える(自分が変わる)」と言ったところがすごく感心しました。相手を変えさせるんじゃなく、自分を変えてみることが大切なんだなあと学びました。メンバーの人たちは皆、過去に悲しい思いもしてるけど、その経験があるからこその今の自分なんだなと思いました。「夢屋」というのは本当にいい場所だと思いました。
●人をいじめてはいけないことが改めてわかりました。
●相手の気持ち(立場)になって考えることの重要性を感じました。
●宮本さんの話を聞いて、面倒を見るんじゃなく、一緒に生活してこうきさんやいろんな人から笑顔や新しい発見を得ることができてるんだと思いました。
●皆、それぞれ感じ方考え方は違うけど、それを受け入れ協力することは大事だと思いました。こんなことをされたらいやだなと思うことは人にもしてはいけないと思いました。された人は心に深い傷がつくからいけないなと思いました。
●世の中には障害を持った人がいっぱいいます。でも「自分と違う」からと言って、いやな目で見る人たちもいっぱいます。でもお互いわかり合うことで世話をしてるんでなく、されている(学んでいる)ことを心に入れることが大切だと思います。
●人は人なんだと気づいた。
●自分勝手じゃない人になりたいと感じました。
●自閉症とか聴覚障害など人がつくった壁なんて本当は存在しないということに気づきまし。た。「~障害」って一つのまとまりで言ってしまえば「その人は~な人だ」と決めつけていることになると思ったからです。
●最初「障害者だから何もできなんじゃないの?」と思っていた。決めつけからなんだと思いました。話を聞いてやっぱりお互いを知り合い認め合うことが大切だなと改めて感じました。
●障害があるなしに関係なく、命はその人にとってないといけないものだということをその人自身が思えないとその人に一つしかない大切な命になっていかないから、皆が一つの命を大切にしてあげないといけないと思いました。
●何か言いたいことなど、つらかったことは人に伝えていこうと思いました。
●裕子さんが小学生のときにあったことを4コマ漫画にして自分がどう思ったかなどを聞いて、言われていやなことはしないということなんだなと感じました。
●話を聞いて、暴力や悪口を言ったりすると人がきずつくことが改めてわかりました。たけしさんが皆と夢屋を開き今そのことがつながっているのはとてもよかったと思いました。
●何かの障害を持っている人も、みんな同じ人間だから差別をしないように頑張りたいと思います。何か悩んでいることがもしもあったら、先生や友達や家族に相談しようと思いました。
●一人一人得意なこと不得手なことがあるんだと改めて考えました。そして相手の得意なこと、不得手なことなど相手の内側を知ることでその人に対する思いが変わり、いじめがなくなるということも改めて気づきました。
●すごいなあと思ったのはたけしさんのことです。いじめなどをうけたけど、何とかたえられたし、大けがをしたのに立ち直ったり。僕だったらもういやになってあきらめると思います。
●これまでいじめや差別をされた人の気持ちになろう! と思っていましたがなかなかわからず、つい悪口を言ったりしてきました。今はその気持ちがわかるようになったし、相手を大切にしようと思ったり、気づいたりできるようになりました。
●宮本さんのたけしさんの話を聞いて、宮本さんやたけしさんの家族がたけしさんのことをどれだけ大切に思っていたかが伝わってきました。
●竹原さんの「悩みは言葉にすれば楽になる」ということです。私は相談できる人は少ないですが話すと楽になります。夢屋の皆さんから「生き方」について学ぶことができました。
●心に残ったところは「一日一日の重さ、大切さ」と宮本さんが言ったところです。ぼくはそういうのをあまり考えてなくて、改めて生きる重要さを知り、生まれたということは奇跡で尊いものだなと感じました。
●夢屋の人たちは支え合って一緒にかかわっていけてて家族みたいだなあと思いました。
●ちとせさんが心から友達のように親しんでいて「家よりもくつろげる」と言っていたので、夢屋が楽しくてたまらない空間なのがわかりました。
●障害者、健常者関係なくいじめをなくし、身近な所でも友達関係を良くしていきたいです。
●私は、今日話を聞いて心に残ったことは人との接し方などの説明です。今までわからなかった一人では解決できなかったことを皆さんがわかりやすく教えて下さったからです。
●裕子さんのマンガで裕子さんの気持ちを知り、改めて差別、いじめはいけないと感じました。
●宮本さんも子どものころひどいいじめがあっても、夢屋をやっていてすごいなと思いました。
●話の途中や最後に漫才などで笑いが起きて、勿論、学習もしたけどとても楽しかったです。
●日記などを書くことで知らなかった自分のことを知ることができるんだなと思いました。
●誰とでも仲良くなれるように、お互いを理解し、わかりあっていくことが大切と感じました。
●障害者の方々が安心して夢屋で働いていけているということを感じました。そして人は一人一人違う生き方があるのだから、自分らしくしていればいいのかなと思いました。
●人それぞれの仕方や生き方があるんだなと思いました。
●「初めて会った人だから、あまり近よらないどこう」などと思うのではなく、コミュニケーションをとることによってその人を知れたり、仲良くなれたり、お互いを知ることが大切なんだということに新たに気づくことができました。

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