空や風の音にも秋を感じ始める今日この頃、夢屋よりご挨拶をさせていただきます。
代表 宮本誠一
今年の夏は早い梅雨明けとともに、予報通りの猛暑や豪雨、台風多発による被害が各地で起き、さらに北海道での地震では山肌を抉る大規模な土砂崩れに熊本地震を重ね、胸を痛められた方も多いかと思います。心より被災者の皆様へお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。またこれをお読みの皆様も気温の変化などで体調、崩されていませんでしょうか。どうかご無理なされませんことを願っております。そんな中、8/2(木)に阿蘇市学校人権・同和教育部会の課題別研修会があり、夢屋からはメンバー、スタッフ7名で講師として招かれ(P3、4にメンバーの感想、P6、7に先生方の感想の抜粋をお載せしております)、障がい者と健常者との〝出会い〟についていくつかの資料をもとに話させて頂きました。
結論から申しますと、どんな出会いも日頃からそれぞれ相手をどう意識し〝関心〟を持っているかが大きく関係しているのではということを提示させて頂きました。無関心であれば、重大事が双方の近辺や間で生じても素通りしてしまうか、適当に済ませてしまうことがままあるということです。そんな折り、いつも感謝せずにいられないのは夢屋常連のお客様方です。パンを買って下さるだけでなく、「暑いね、体に気をつけてね」「いつでも水分補給に来てね」と優しく声を掛けて下さることはもちろん、よかったら食べてねとお菓子やアイスを用意して下さる方もおられます。まさしく無関心とは真逆の温かく濃い関係です。メンバーもその表情や真心にいつも疲れが吹き飛んでいるようです。そのようなことを考えますに、先般露呈した国や地方自体による障害者雇用水増し問題は、制度の理解や運用云々以前に日頃から業務に携わる方一人一人が、果たして障がい者やその家族に対してどのような意識で向き合っていたかが問われるのだろうと思いますし、私も改めて自分の問題として考えねばと思っているところです。
それでは8月から10月までの行事を紹介(予定も含む)させていただきます。
8/2 阿蘇市学校人権・同和教育部会課題別研修会(講師としてメンバー、スタッフ参加)
8/25 森の家『野菜ty(のなてぃー)』でビデオ・フェスタ(連連影展)開催。。
8/28阿蘇市読書感想文コンクール第一回審査委員会(委嘱状交付、宮本が委員長に選出)
9/13、18、21 下村津代さんが一の宮中、阿蘇中、阿蘇小で講話。
10/7 脳関連障がいの方への支援活動『パイロットウォーク in 熊本』に参加
10/23 阿蘇市読書感想文コンクール第一回審査委員会(各賞決定と意見交換)
地球温暖化に加え、プラスティックの廃棄物もかなり限界に来ているようです。既にいくつかの企業がストローを紙製に変えたり、レジ袋を減らす試みもされているようです。これもやはり自分の生活の在り方に返ってくる問題ですので、これまでのいい加減な暮らしぶりを少しは改めねばと自省しているところです。最後になりましたが、この代表挨拶の原稿を書き終え発行まで三週間ほどあり、その間、再び大きな災害もなく平穏な日がつづくことを祈るばかりですが、地球規模での気象変動もあり、そうもいかぬのも現実かと思います。どうか皆様におかれましてはくれぐれもお体気をつけられ、ご無事であられることを願ってやみません。地域の中でまた元気に出会わせて頂けることを祈念し、ご挨拶とさせていただきたいと思います。
『研修会で懐かしい記憶』 中島 地利世
8月2日、今年も「阿蘇市学校人権・同和教育部会課題別研修会」の時期がやってきました。
今年のテーマは“出会い”について考えるという事で、宮本さんが事前に私達に、初めての「良い出会い」「嫌な出会い」を(相手が子供との場合、大人との場合に分けて)、質問してくれたものを、発表しやすいように資料にまとめて作ってくれました。
私は、小学校の時の大好きな恩師とすごした大事な思い出を話しました。「夢屋」のお仕事の中では、この研修会が何度経験しても自信が持てず、一番 緊張して不安になるので(苦笑)顔なじみの先生いらっしゃるかな~と眺めていたら、1人、数年も前に職場体験の担当をされて「夢屋」に来て下さった先生が参加して下さっていて、当時の可愛い生徒さんを思い出すと懐かしい気持ちになり、あと、お茶などを配ったりして下さっていた方が凄く気さくに話しかけて下さったりして、おかげで少しリラックスする事ができました。
他の先生方もお会いしたことがなかったり、直接お話したことの事ない方ばかりでしたが、私達が発表している時や、最後の質問コーナーで答えている時も、ずっと笑顔でうなずかれながら聞いて下さっている方が多かったので、話しやすい気持ちにさせて貰えました。帰り際、わざわざ「良かったですよ!」等…お声をかけに来て下さる先生もいて、凄く嬉しかったです。
研修会が終わって数日後、今度は参加して下さった先生方の感想文が「夢屋」に届けられました。それを読ませて頂いていると、私の前号の夢屋便りの原稿を読んで下さった方で「ひき込まれ研修中でしたが思わず吹き出しそうになりました。」と書いて下さっている先生がおられて、緊張する雰囲気の中少しでもリラックスして頂けた?のでしたら、お尻の怪我も無駄にならなくて良かったです。 (*^^)v 阿蘇市の先生方、有難うございました。そして、暑い中、本当にお疲れ様でした。
8/2の阿蘇市学校人権・同和教育部会の課題別研修「共生の教育」の感想の中から一部を抜粋してご紹介させていただきます。参加して下さった職員の皆様に心より感謝いたします。
●勤務する小学校にいつも「夢屋だより」を届けに来て下さるユウコさんがいつも丁寧に私たちに接して下さる姿に、職員は嬉しい気持ちになっています。
●今年教職29年目を迎え、ほぼ同時代を生きて来られた宮本さんのことは常に気になり、尊敬したり刺激を受けたりしてきた一人として学ばせて頂こうとまたやってきました。(中略)そして今日のお話で知った数々の喜び、現実、学校の役割……。まさにいろんな思いがぐるぐるしています。考えながら学校へ帰り、現場で自分のできることを探っていきたいと思います。
●大学生の感想で、障がい者と同じ空間を共有した経験が少ないとか全くないという裏側には、無関心のために出会いに気づいていないのではと言う宮本さんの言葉が印象的でした。
●大変なことも多いかと思いますが、こんな時代だからこそ、夢屋は貴重で大切な場であり続けられると信じています。私も現場の中でできることを精一杯取り組んでいきたいと思います。
●私は夢屋で2日間、研修させていただきましたが、その中で〝ともに生活すること〟が一番大切なことだなと気づかされました。無理してまで過ごすのではなく、無理のない過ごし方で、でもお互いに声をかけ合い、地域の中で過ごせることがいいなあと思いました。
●最後にメンバーの方が「これからも働きたい」「夢屋にいつづけたい」とはっきり自分の言葉で語って下さった姿が素敵だなと強く印象に残りました。
●夢屋に通っておられる皆さんの穏やかな表情から、日頃の活動にやりがいを感じておられることが伝わってきました。本日はありがとうございました。
●下村さんの差別はなかなかなくならい……という思いを語られていましたが、少なくとも以前と比べて少なくなっているとは感じます。一度には難しいとは思いますが、必ずなくなると信じて、学校で、家庭で人権教育を推進していきたいと思います。
●私は阿蘇に来て11年で、ずっと特別支援学級の担任をさせていただいており、夢屋さんには宮地のときも蔵原のときも4年間ほど支援学級や交流学級の子どもたちが体験学習で御世話になりました。皆、夢屋さんのことはとっても良く覚えていて、いつも大好きになっていました。
●地元の中学校を卒業した阿蘇出身者です。本日の研修の講話を通して夢屋さんのことやこれまでの取り組みについて初めて知りました。地域のことに無関心でいた自分が恥ずかしいです。
●夢屋のことはパンを配達に来られたり、通信を下さったりで活動はある程度知っているつもりでしたが、実際にお話しを聞き、自分自身の無関心さを恥ずかく思いました。共生、インクルージョン教育など、言葉では簡単に言えますが、自分がその立場に立った時、果たして相手のことを真剣に考えどれほど行動できるか考えさせられました。
●当事者の方のお話が聞くことができて、いじめや差別を受けたお話など、小さい頃からの出会いについていい出会い、いやな出会いなど具体的なことを聞くことができてよかったです。
●下村さんの「小さい頃からの『差別的な目』は嫌な気持ちとして残っている。一生なくならないのではないか」と言う言葉が今回の研修の核と思いました。夢屋さんで多くのメンバーの方も参加して頂き、すっかり大人になったミサキさんにも会わせていただけて感激しています。
●現在は様々な障がいがあります。目に見えて理解できるものやそうでないもの。だからこそ私たちは、多種多様な障がいについて具体的に知り、学ぶことが大事だと思いました。
●宮本さんが仰っていた「卒業後の現実」に子どもたちが突きつけれてしまう前に周囲の人たちとともに生きる力をどんな子どもであっても身に付けなければならないと改めて思いました。
●部落差別も障がい者差別も、社会の中である意味、隠されてきた、また隠してきたと思います。〝世間体〟という一面的な物差しが存在してきました。それらは学校や社会で植え付けられてきたと思います。部落差別や障がい者差別もタブー視してきたと思います。
●あまりに忙しいからでしょうか。毎日を丁寧にしっかり生きていく暮らしを忘れてはいないでしょうか。一人ひとりの思いを受け止めることが、自分の思いを受け止めてもらえることに繋がると思います。もっとゆっくり歩むことを心して、明日から取り組んでみます。
●一昨年、夢屋さんには職場体験の際、担任をしている生徒が大変お世話になりました。働くことの楽しさと厳しさを宮本さんを始め、メンバーの方々に教えていただきました。
●学生時、友達に「もし、自分のおなかの中にいる子が障害があるとわかったらどうする?」と聞かれたとき、私は咄嗟に「わからない」と答えました。今日のお話を聞きそのときのことを思い出しました。私の中にあった障がい者差別、そして今だに環境や人々の意識に苦しめられている人たちがいること、差別は大人が生み出しているのでは、と先日職員で話したところです。
●下村さんが感じられた冷たい大人の視線に象徴されるように、深く聞いたり、じっと見たりしたらダメ! という教えのようなものが小さい頃の私にも染み付いていたように思います。そして今、現在でもその内面的なものは日本の社会に根付いているように感じます。
●阿蘇地域で保育園から高校までのコーディネーターの集まる定期的な情報交換会をつくってもらいたいです。本人、保護者へのスキルトレーニングを早期に! ぜひお願いします。
●現場にいる者としてつなぐというかパイプ役になり、いずれパイプがなくても障がいのあるなし関係なく、子どもたちが自分たちで関わっていけるよう育てていかなければと思いました。
●「私の障がい者との出会い」はと言うと正直覚えていません。小学校の頃のクラスメイトが今思うとそうだったのかな? というのはありますが、やはりそのとき気づくような教育を受けてない、また気づこうとしても力不足だったのかもしれません。
●発表された方々が前向きにハキハキと自信を持って発言されていたことが印象に残りました。
●自分自身、障がい者とどのように出会い、接してきたか考えさせられました。多様性を受け入れられる社会にするためには色々な特性の人と触れ合える環境づくりが大事だと思います。
●「健常者は関わりが少ないと感じていても、実際、障がい者は健常者との関わり合いは大変深く体や心に刻まれている」という宮本さんの言葉にハッとしました。教員は学校現場では「共生」を体現していくべき存在です。その役割の本質を今一度考え直す貴重な機会となりました。
●差別をなくすために、正しい人権意識と態度を身に付けさせたいと強く思いました。時々「『がい者』みたい」と心ない発言をする生徒がいます。心を育てるため私自身学び変容したいです。
●私の小学校は毎年「夢屋」さんに大変お世話になっていましたが、私自身は今まで体験交流の機会がなかったので、今度ぜひ交流させていただければと思います。
夢屋での研修(十年経験者研修)を終えてみて
阿蘇小教諭 加悦 絵里奈
7/24と25の2日間、とにかく居心地がよく、楽しく研修することができました。最初の出会いから笑顔で迎え入れてくれ、嬉しかったです。皆のリーダー地利世さん、パン作りはもちろん、色々な場面で一人一人に合った声かけをしながら作業する姿が印象的でした。そして話の途中で飛び出す表現力豊かな例え、ついつい笑顔になって話に聞き入ってしまいました。
一緒に作業することが多かった裕子さん、細かいことまで教えてくれたり、ふとした時に「一緒で嬉しいです!!」と言ってくれたり。とても感激しました。イラストの上手さや漫才の面白さも驚きでした。何でもてきぱきこなす美早さん。しっかり者でとても丁寧な作業姿に感心しました。ぜひ歌も聞きたかったです。みんなの癒し的存在の康揮さん。私が横に座っても嫌がらず、ジュースも飲んでくれて嬉し勝手です。
最後に宮本さん。一人一人の性格や特性をしっかり受け止め認めながらよさを生かす声かけがしっかりとされていてすごいと思いました。最初の時にルールを定着させたことで、自然になされている「お疲れ様でした」「ありがとうございました」などの挨拶。そういったことが当り前になるよう意識して教えることが大事だと思いました。またお客様へ配達しながら、地域の中で暮らすってこういうことなんだなあと皆に見守ってもらえていることを感じることができるって素敵だなあと思いました。ともにすごすことでこれからもつながっていきたいです。
思い切って話してよかった 下村津代
今年も、8/2、阿蘇市教職員の人権学習の研修会に夢屋の講師の一人として参加させていただきました。先生方からはいくつか質問があり、例年以上に熱気があるなあと感じました。
以前、私が地元の小学校へ盲導犬を連れて話にいったときの担任の先生も来られていました。その先生が健常児と障がい児をいつもただ一緒に生活させるのでなく、本人の希望や調子のことも考え工夫していると言われ、なるほどなあ、色々大変なんだなあと感心しました。
また少子化なのにどうして先生方は忙しいんだろうと素朴に疑問を持っていましたが、事務仕事などは増えているとのことでそれも改善されればいいのになあと思いました。
私自身は幼い頃から感じ、そして今もなかなかなくならない差別的な周囲の視線のことを思い切って話してみました。大人の中には小さな子どもは、どうせなんにもわかってないと思っている人もいるかもしれませんが、自分へ注がれる理不尽で嫌な眼差しや空気はとても敏感に感じ取っていると思いますし、私は今でもそのときの感覚は残っています。そんな経験を踏まえ、ぜひそのことを伝えたい一心でした。皆さん真剣に聞いて下さり、感想で、これから差別意識がなくなるよう一層努力していきたいと書いて下さっている先生もおられ、勇気を出して言ってよかったし、そうやって受け止めて下さることは本当にありがたいことだと思っています。
コウキさんも夢屋に来て11年目、10月で25歳になりました。