「共」に「生」きる。 in 阿蘇

7/12発行の『夢屋だより・夏号』(111号)からの文章です。

夏本番の到来を前に、時節のご挨拶をさせていただきます。
作業所「夢屋」代表 宮本 誠一

6月29日、気象庁は関東甲信地方の梅雨明けを発表しました。これは平年(7月21日ごろ)より22日早く、6月に梅雨明けするのは観測史上初めてとのことです。以前ならそんなことがあれば単純にジメジメした季節が早く終わり、さぞ気持ちいいだろうくらいに思っておりましたが、最近ではむしろ猛暑や台風への警戒はもちろん、もしや大地震の前触れではなど心配が先立つようになっています。改めまして皆様におきましてはお変わりありませんでしょうか。
さて、そんな中、行事ご報告にも書いておりますが、6月には5日間、蔵原地区の高校生が現場実習に、7/24、25には阿蘇小学校から現役の先生が10年目研修でやって来られたりと、これまで以上に地元の方々とのかかわりも増えてきました。また阿蘇市人権作文集『かけはし』編集会議の「生活つづり方」学習会の講師として副代表である竹原ナホ子が8年、阿蘇市学校人権・同和教育部会課題別研修会「共生」の教育の講師に私が13年連続で招かれましたことは、大変ありがたいことです。課題別研の方は毎年、スタッフ、メンバー一緒に、できるだけ当事者の声を掘り下げお届けできるよう、内容も工夫を加えながら臨ませていただいております。
また前号に引き続き、阿蘇ひまわり基金法律事務所弁護士の森あい様に寄稿していただきました。前号下欄に括弧内で『LGBT』について私がネットから引用した説明を加えておりましたところ、森様より正確さに欠けるとのご指摘と「概念説明」に対してのご自身としての考えもお話したいとのご希望を受け、今回寄稿となりました。森様にはご多忙の中、大変お世話になりました。この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
では6月から8月までの行事日程(予定も含む)をご報告させていただきす。

6/9、10 森の家『野菜ty(のなてぃー)』ご利用(岩手レインボーネットワーク主宰・山下梓さんによる講演とワークショップ/「くまにじ」合宿)
6/11 阿蘇市人権作文集『かけはし』編集会議(講師として副代表竹原ナホ子参加)
6/11~15 小国支援学校高等部から現場実習。(生徒1名)
6/30 くまもと障害者労働センター評議員会(宮本出席)
6/22 森の家『野菜ty(のなてぃー)』ご利用(トラム―ト北九州)
7/14、15森の家『野菜ty(のなてぃー)』ご利用(YWCAの皆さん)
7/24、25 阿蘇小学校から教職員の10年研修に。
7/26、27 森の家『野菜ty(のなてぃー)』ご利用と夢屋見学(2名)
8/2 阿蘇市学校人権・同和教育部会課題別研修会(講師としてメンバー、スタッフ参加)
8/4、5 森の家『野菜ty(のなてぃー)』ご利用(高校生と職員)
8/25、26森の家『野菜ty(のなてぃー)』(「くまにじ」様)

半夏生(はんげしょう)というドクダミ科の植物があります。花期の7月初旬だけ葉緑体をわざと作らず葉の一部を白く変色させます。虫媒花で虫を誘うためで、ふと立ち寄った山間の水辺を眩しく彩っていました。澄んだ水や空気の場所しか生息できず、激減しているとのこと。水面の光を跳ねるその可憐な姿が、こちらへ何かを訴えているように思えた次第です。
LGBT問題ではなく、みんなの問題、みんなのためのこと
森あい (「くまにじ」https://kumaniji.jimdo.com/)

「LGBTについて知りたいので入門編ということで話してください」、「LGBTのことが分からないので、基礎的なことを書いてください」といったご依頼をいただくことがあります。
LGBTという言葉は、最近は新聞やテレビでも出てくることがあり、詳しくは分からなくても、聞いたことがあったり、見たことがあったりする人は多いのではないでしょうか。
LGBTとは、
L:レズビアン(恋愛や性的な関心の対象が女性である女性)
G:ゲイ(恋愛や性的な関心の対象が男性である男性)
B:バイセクシュアル(恋愛や性的な関心の対象が同性でも異性でもある人)
T:トランスジェンダー (割り当てられた性別と性自認が異なる人や、割り当てられた性別と違う性で生きる人、生きることを望む人。トランスジェンダーの定義は、人によってかなり違いがあります。)の頭文字をとった言葉です。
LGBTは、LGBTにあてはまる人を総称するものとしても使われますが、「異性、同性問わず、そもそも恋愛や性的な関心が誰にも向かない人」や、「恋愛や性的な関心の対象や自分の性別が分からなかったり決めたくなかったりする人」なども含め、広くセクシュアルマイノリティを総称するものとしても使われることもあります。
このようにLGBTについて説明することはできるのですが、私は、最近、LGBTの説明をあまりしませんし、するときも説明は少しだけにするようにしています。
LGBTの説明から入ったり、LGBTについてたくさん説明すると、根本的に重要な、「どんな性別の人を好きになるのであっても、あるいは好きにならないのであっても、自分の性別を何と思っていても、人は1人ひとり尊重されなければならない」ということが忘れられがちだからです。結果、「ある人はLGBTなのか」に関心が向き、さらに、場合によっては、「LGBTだったら支援しなければならないが、そうでないなら支援の必要がない」とさえ考えられることもあります。
また、LGBTなどのセクシュアルマイノリティが生きづらいのは、婚姻制度が使えないなどの制度の不備、また様々な偏見などによるものであり、当事者でなく社会の問題です。しかし、LGBTばかり説明されると、LGBTという弱者の問題で、マジョリティとは関係のない、LGBT自体の問題だと思われてしまいがちです。
マイノリティのことではなく、みんなの問題。そして、好きになる性別、自分自身の認識する性別、自分の性別などにかかわらず、1人ひとりが尊重されるということは、みんなのためになること。
自分はLGBTでないと思っておられる方にも、LGBTの問題というのでなく、みんなの問題、みんなのためのこととして関心を持っていただけると嬉しいです。

『痛いハプニング!!』              中島 地利世
4月に【夢屋】入所15周年を迎えて、いよいよ16年目に入りました。
学年でいうと高校生ですので、自分でも「よくこれまで続いたな」と思います。
今号は、私事ですが…最近の出来事を書かせて頂きたいと思います。
6月10日の出来事です。その日は、地域の掃除(草取り)に参加していました。私は、一番、枝などが散らばっている竹藪の中を片付けていました。拾おうと座り込んだその瞬間、地面から突き出ていた途中で折れて尖った竹が、私の臀部の左側から腰に向けてザクッとかすり、薄い作業着しか履いてなかったので、10センチ位の切り傷をつくってしまいました。突然の痛みに、そのまま土下座のような格好でうずくまって耐えていると、同じ住宅の女性がすぐにかけつけてくれて、出血がけっこうあったので「とにかく止血しないと…」と手当して下さいました。他の方は「ケツだけん、よ~出血すっとたい!」と冗談にしてくれようとするのですが、私は痛すぎて笑えませんでした。(苦笑)その日は出血も止まったので、後は痛みがひくまで待てば大丈夫だろうと簡単な手当だけにしていたのですが、なかなか痛みが治まらず逆に強まるような気がして、腫れだしてきたので、負傷した場所が場所なだけに出来れば病院には行きたくなかったのですが、念の為に行くと「なんで、もっとすぐに来なかったんですか!」とお医者さんに言われて、容態を聞くと傷口から小さい竹の枝屑が刺さったまま残っていたようで、自分が身体を動かせば当然それも動き回るので、傷口が炎症おこして化膿している…痛みの原因はこれでした。急遽、そこに局部麻酔というものをして取り出すことになりました。先生の配慮で、ビニール製のスカートのような物に着替えさせられて、傷口付近だけめくられるという便利な物でした。治療が始まって、取り出し方は「こんなにもお尻を揉まれるか!?」という位、出口まで枝が取り出しやすいように揉みまくられました。傷口を少し開いて、長いピンセットで無事キレイに取り出す事ができました。情ないやら、恥ずかしいやら、とにかく早く終わってほしい気持ちでいっぱいでした。治療が終わり麻酔が切れると、痛みは残っていますが、今まで感じていた違和感や腫れが嘘のようにひいていきました。お医者さんから「せめて痛みがひくまでの3日間は安静にしてて下さい」と言われたのですが、次の日は木曜日、【夢屋】を休みたくないので普通に来て、早速 宮本さんに報告すると、皆で出来る限りの配慮はしてくれました。特に美早さんには何度も協力してもらう事があって、とても助かりました。一番心配だったのは、重い食パンやカナッペ発酵器へ出し入れする時、踏ん張ると腰付近にくるので、「またピキッと裂けるんじゃないか!?」というほどの痛みがはしり、しゃがめないので困っていると、何も言ってないのに、美早さんが自分からすすんで「発酵機、入れます」と動いてくれて、他にも「これ、どうしたがいいですか?」などと、いつも以上に頑張ってくれて、とても心強かったです。少しずつ普通にバタバタ動けるようになって、こんな当たり前のことが、今後も当たり前に続くわけじゃないと痛感したので、助けて下さった周囲のみなさんに「恵まれてるな…」と、感謝を忘れずもっと注意力を身につけていきたいと思います。心配して下さった皆さん、本当に有難うございました。

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