「共」に「生」きる。 in 阿蘇

2013・「夢屋だより」夏号からの文章です。

夢屋から、夏のご挨拶をさせていただきます。

作業所「夢屋」代表 宮本誠一

今年の梅雨もかなりの雨量で、屋根や地面に叩きつける激しい雨脚の音を聞いていると、昨年のことが思い出され、不安な日々を送られたり、実際に指定の避難所へ行かれた方もいらっしゃったかと思い案じているところです。皆様、お変わりありませんでしたでしょうか。さて今年もそれでも半分以上が過ぎ、時の早さを感じずにはいられません。そんな中、残念なお知らせをせねばなりません、夢屋の人気者、高倉深雪さんがこのたびご家族のご健康上の事情で在宅での通所が難しくなり、共同生活援助施設入所の検討をすることとなりました。

思えば彼女は、当時の一の宮町役場の紹介で、2003年5月8日にお母さんと訪ねて来られ、翌日からはさっそく一人で自転車で来るバイタリティーの持ち主でした。ちょうど丸10年を夢屋のメンバーらと一緒に活動してくれたことになります。深雪さんは小国支援学校を卒業後、授産施設や民間のお店などに勤めましたが、なかなか長期の就労にはつながらず、果たして夢屋でもどうなるかとご両親も心配されていましたが、小規模で家族的な雰囲気が気に入ったのか「毎日、楽しいって言いよります」というお母さんの言葉どおり、ほぼ一日も休むことなく来てくれました。ただそのお母さんも三年ほど前に、そして今年は5月にお父さんが健康を損なわれ、市外におられる妹さんからのご依頼で、次の入所先を探すこととなった次第です。深雪さんとの思い出はたくさんあり、とても簡単には言い尽せませんが、今回はメンバーらと精一杯の心を込め、彼女への思い出を語る号とさせていただくことにしました。

最後になりますが、言うまでもなく彼女が無事楽しく10年間を通えたのは夢屋だけでなく行政の皆様、そして何より配達先で、あるいは町中でお声をかけて下さったお客様や地域の皆様の温かな眼差しと励ましあってのことです。夢屋代表といたしまして、改めてこれまでのご厚意に深くお礼申し上げる次第です。本当にありがとうございました。そしてまた今後も、どうか夢屋にやってきている深雪さんの可愛い後輩たちをよろしくお願い致します。では6月から8月までの行事をご紹介します。

6/1 在熊の画家、青柳綾さんの個展に宮本著『お月さまとゆず』を置いて頂き10冊完売。

6/22.23 熊本、福岡市内から「野菜ty」へご宿泊(4名)

6/5 竹下舞さんの25歳の誕生日(5/31)の祝いをする。

6/19.20小国支援学校から職場体験学習(2名)。メンバーらとパンづくりや配達を行う。

7/3 宮地小勤務時代の児童の福祉相談を受け、訪問(宮本、竹原)

7/6 高倉深雪さんの今後を本人、市職員、相談支援センター長、家族、宮本で話し合う。

7/26 池邊美早さんの23歳の誕生日のお祝いをする。

7/30 益城町人権課題別研究会の協力者として宮本が出席(昨年につづき2度目)。

8/5 野菜ty宿泊がご縁で長崎から阿蘇へ移られ開店された「まったりいな」へお祝いに。

8/8 阿蘇市学校人権同和教育課題別研修会「共生」の教育に夢屋全員で講師として招かれる。

8/24.25 北九州から「野菜ty」にご宿泊(ロアッソ対ギラヴァンツの観戦ツアー)

 

よき相方だった深雪さんへ。10年間、ありがとう。

2003年、5月8日、深雪さんはお母さんと一緒に、当時の一の宮町役場の紹介でやってきました。坂梨小学校に一年まで在籍し、その後小国養護学校へ転校、中学部卒業後、授産施設を始め、裁縫工場や漬物屋など様々なところに就職された話を一通り話してくれました。私は深雪さんのわりと落ち着いた様子を窺い、お母さんに、「わかりました。まずは体験してから本人に決めてもらうのがうちのやり方なので、お母さん、さっそくですが今日は深雪さんを置いて、一人で帰ってもらっていいですか」と言うと、お母さんは若干心配そうではありましたが、「じゃあ、おまかせします」と一言おっしゃり、夢屋での第一日目は始まったのでした。

あんこ練りや食事の準備も手伝ってもらいながら、彼女がかなり積極的な性格であることもわかってきました。パンの配達も終わり、まるでこれまでずっとメンバーだったように生き生きした姿に、私はこれからの手応えを感じつつ、その日は家まで車で送ったのですが、帰り着く頃には助手席で鼾をかいて寝ていたのを覚えています。緊張もし疲れも出ていたのでしょう。「そろそろ家だよ」私が声をかけると、ガバッと起きたのがとても印象的でした。

さて翌日から、自転車でやってきた深雪さんは、次々と得意な技を発揮することになります。まずは歌。彼女の書いた作文を歌詞にして私がメロディーをつけた『みんな、マイダーリン』は、夢屋への訪問者や支援学校の実習生、総合的学習の小中学校の児童生徒の前で大盛況で、最後に深雪さんに「マイダーリン」と指差された人は、顔を真っ赤にし照れながらも大喜びでした。そしてついに2009年10月24日、阿蘇市立体育館で300名のお客様を前に披露し、ステージ上から佐藤市長へ熱きマイダーリンのご指名をするまでに至るのでした。

次は漫談です。牧信二の「やんなっちゃった節」を私と一緒に歌い、きぼうの家さんの夏祭りや、人権・同和教育の夏の研修会でたくさんの学校職員の前で堂々と披露してくれました。また、ホームページ上ではユーチューブを使った「夢チューブ」で夢屋のキャラクターのミユモンになってくれ、楽しませてくれたのです。そんな彼女が、挨拶文でも書いたとおり、ご両親の健康上の理由で在宅での通所が難しくなり、夢屋を卒業することは本当に残念でたまりませんが、毎日毎日を全力で一緒にやってきたことは、これから夢屋を続けていく者たちにとって何物にも代えがたい財産ですし、私たちの心にずっと残っていくものと思います。ほんとうに10年間、ありがとうございました。またどこかで会ったら、『みんなマイダーリン』をいっしょに歌いましょうね。(宮本)

ミユキさんとの思い出      井上拓郎

僕が夢屋に入ってきてミユキさんは嫌な上司の見本でした。まずきてすぐ文句を言います。文句の内容は花の水やり、掃除をやったかという質問でした。言われても文句を言わずに黙ってやり通しました。文句を言っても状況は変わらないと思ったからです。また学校の生徒が研修に来るとその人たちに話しかけると、「やきもち」をやいたりして大変でした。たとえばメンバー一人に研修生が一緒に座って行動していたら、また「やきもち」をやいて困ってしまいました。

僕にとってミユキさんがいなくなることはうるさい上司や先生がいなくなることです。

ミユキさん、次の場所でも部下を見つけてガミガミ言ってください(ただし、文句を言わない人じゃないかもしれませんから気をつけてください)

『☆深雪さんと過ごした10年間☆』                          中島 地利世

メンバーの中でただ一人、同期の深雪さんと初めて会ったのは、私が【夢屋】に入所して2週間後の週末で、その時の印象を一言で表すと、とにかく「派手」な人でした。私はちょうどパンづくりの最中で、隣の部屋から賑わってくる声に「誰かお客さんが来たのかな~?」と思っていたら、宮本さんが「ちょっとだけ自己紹介でも…」と、工房まで呼びに来てくれたので行ってみたら、そこにお母さんと一緒にいたのが深雪さんでした。

自己紹介が終わると、開口一番に「生年月日はいつ?」一番、最初の会話がこれでした。深雪さんのお母さんが言うには、「気にいった人…話しやすそうな人にはすぐこれ!」だそうで、私は気に入られたのか?まっすぐ見つめてくる眼光がちょっと迫力があって怖かったのをよく覚えています。(笑)上に書いた通り、髪型からメイク…サンダルまで派手な高いヒールで、作業初日は動きまわる時、危なっかしくて見ている私がハラハラしていました。ちょっとした注意をされてもケロッと平気な顔で、翌日からシューズと花柄のエプロンの自慢に夢中でした。

☆カッコイイ男性に目がない深雪さん♪いつも楽しいお喋りで場を和まし、一瞬で【夢屋】の雰囲気を明るくさせる…そんな彼女が無口で静かな時は、体調が悪い時か、ほとんどはお腹が空いている時だけでした。(@_@;)

「明日の天気」、「明日の予定」、「明日の服」、等、明日の心配ばかりで、今日の失敗が多々。いつも困った事がある度に私を頼ってくれていて、当時、一緒に活動していたメンバーがよく「年齢は上やけどチトセさんの妹みたい」と言っていました。確かに、妹のような可愛い面もあり、時には、「あ…やっぱ年上なんだと」当たり前の事を思う位、でんとしていてしっかりした時もありました。

メンバー内では、私に対してだけ?一番、気配り屋さんで「チトセさん、これしとこうか?」「あれ終わった?」など、私がウッカリしている時、何度も助けてもらった事もあります。

【夢屋】のレクレーションにも、一緒に一番多く参加させてもらって、初めての映画では、深雪さんは何と開始後すぐにぐーぐー寝てしまう始末……。夏には初めての仙酔峡へ泳ぎに行きました。またまた水着も派手な水色で、意外に←(失礼)ナイスボディな姿で、さすが!自転車で鍛えているだけありました。ただ問題なのは水着が痩せてたころので小さくて自分ではとても着れず、私の力でも引き上げれなくて、仕方なく宮本さんが困った顔で手伝っていました。

くまモンの人気にのっかり夢屋からも一つ出すかということになり、[ミユモン]という期間限定?キャラをつくり、勇気ある彼女はどこそこに出現!阿蘇神社や仙酔峡などの観光地で注目の的(撮影する人も(笑))でした。いつも、どこにいても一番近くにいて、最近の出来事や、昨日のテレビの話、芸能人の話(深雪さんが大好きなスギちゃんの話等)幅広く話題の尽きない、そんな楽しいオバちゃんが卒業するのは、体の一部がなくなったような…心に大きな穴が開いたままの寂しさですが、何も今生の別れではないので、いつかまたどこかで、偶然バッタリ!会う事があったら「ミユも~ん!」と呼んでみようと思います。

どこにいても元気な深雪さんに負けないように、私もまだまだ[夢屋]で頑張っていきます。

初対面の日からバリバリに張り切っていたみゆきさん。  佐藤清子

初めて会った時から、とにかくエプロンやスカーフを見て見てと何回もせがんできました。準備もバッチシしできていて、やる気満々だなあと感心しました。夢屋にやって来た人には、一人一人似顔絵を描いて名刺代わりにわたしていました。とても雰囲気がつかめていて、芸術だなあと思いました。今度、お父さんがご病気ということで、私の家も夫が調子がわるいのですが、それ以上にたいへんなのではと心配しています。顔を見れなくなるのはさびしいですが、どうかお体気をつけて次の場所でも元気にやっていってくださいね。

コウキ&マイ日記

7月3日・水曜日(雨)

外は大雨…と残念な天気ですが、今日も朝から元気いっぱいのマイペースコンビ♪

マイちゃんは、お気に入りのセーラームーンの漫画本を持参で、大事そうに胸に抱えていました。いつもは【夢屋】に来たらすぐ、自分のハンカチをコウキ君に貸してあげていましたが、今日は読書に夢中で…面白いのは、どこで覚えたのか?ページをめくる時、指を口元に持っていき唾つける真似をしていました。あと、ちゃんと読めているのか?よく見ると本も逆さまでした。(笑)しばらくすると、同じくセーラームーンのお気に入りのバックがどこにいったかわからなくなったようで「お母さんもね~わからんって!」とかなりご立腹の様子でした。^^;

そんなマイちゃんの様子を見て、なかなか構って貰えなくて待ちくたびれた?コウキ君が自分から立ち上がり、マイちゃんの方に近寄りハンカチをひったくるように取ってポイッと放り投げてしまいました。

「こ~らっ、何しょっと!」と言いながらも笑顔のマイちゃんと「フフッ」満足の声を出すコウキ君、いつ見ても面白くて飽きないコンビです。(コウキ&マイ)

6月26日・水曜日(雨)

今日は、朝から台風のように雨風がとても強い一日でした。サンルームに音が響く度にビクつくコウキ君が少し可哀想でした。マイちゃんは、いつもより早く9時前に到着して、しばらくすると用事を終えたチーさんが帰ってきた時、満面の笑顔で立ち上がってまで元気に出迎えてくれました。チーさんがイスに座ると、コウキ君まで肩をポンポンと叩いて労ってくれていました。(コウキ&マイ)

6月19日・水曜日(雨)

今日から、小国支援学校の山内さんと甲斐君が職場体験の実習生として【夢屋】来てくれました。残念ながら、マイちゃんは風邪でお休みでしたが、代わりに?相棒のコウキ君がマイちゃんの分まで大ハッスル♪「一の宮中学校」での後輩でもある山内さんには、ちょっかい出しやすいのか?、前を通る度に腕を掴んだり、足をポンポンと叩いて遊んでいました。あまりしつこいと、最後は「止めて下さい!」と言われて凹ヘコんでいました。(笑)(コウキ&マイ)

6月12日・水曜日(晴)

今朝コウキ君に「今日も、マイちゃん元気に来てくれるかね~?」と聞いたら、「フフッ」と笑い「ん~っ!」元気よく動き始めたので、マイちゃんパワーかな?と噂していたら、車の音が♪ 今日は大好きなお父さんも一緒に、お母さんと3人でやって来ました。最初の頃は、大人しく疲れているのかな?とコウキ君も立ち上がり覗き込む位でした。そんなコウキ君に「良いよ!」とハンカチを差し出すと、それをパッと取って満面の笑顔で、「ん~ん~」と胸に抱くように握りしめて喜んでいました。おかげで、久々にマイちゃんの笑いながら「何しょっとかね~」が聞けました。(笑)笑ったあとは、マイちゃんもどんどん元気が出て来て、今日だけで3枚もぬり絵の仕事をしてくれるという大ハリキリでした。(コウキ&マイ)

6月5日・水曜日(くもり)

今日から、またマイちゃんが【夢屋】に来てくれるようになりました。朝、車まで迎えに行くとマイちゃんのすぐ隣のチャイルドシートが置いてあって、可愛い赤ちゃんが眠っていたので、最初ちょっとビックリしました。久し振りに会うマイちゃんは、また一段とお姉さんらしくなっているように思いました。「久し振り!」と声かけると、少し緊張して?可愛らしい照れ笑い顔を見せてくれました。少し遅くなりましたが、5月31日がマイちゃんの誕生日なのでプレゼントをあげて、みんなから「おめでとう」と言われると、「もうしたもん!なったもん!^^ ←(25歳の年齢の事)」と楽しくお誕生日をお祝いしてもらえたようで、さらに可愛い笑顔で、最近の出来事のお話をしてくれました。そんなマイちゃんの様子をジッと見つめるコウキ君にも、「マイちゃんがまた来てくれて嬉しいね~」と話しかけると、「フフフフっ」と、ずっと笑ってばかりで、立ちあがってはマイちゃんの腕を引っ張ったり、ハンカチを借りたりして凄く嬉しそうに過ごしていました。(コウキ&マイ)

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