夢イリュミナシオン

ひでおさんと僕        貴田雄介

  ひでおさんは障害者で ぼくは介護者だった。 ひでおさんは脳性麻痺者だった。 でも、ひでおさんもぼくも 同じ人間だ。 でも、多くの人は 同じだとは考えない。 介護者であるぼくは 偉いねぇと褒められた ぼくは何 […]

夢イリュミナシオン

アンハッピーエンド      貴田雄介

  僕達は 一対の 仲のよい夫婦で、した   きっかけは そう ほんの些細な 取ルニ足ラナイ すれ違い バッドタイミング 魔が差したというのか 動かぬ証拠という類いの 不義などありはしなかった &nb […]

夢イリュミナシオン

君と歩く           貴田雄介

  君と歩く 美術館を これまでは一人で来ていたけど 今日は君と二人で来た 前に君と一緒に来た時は 君は座っていた 今日は君は歩いていた 自由に歩けるようになった君は 前よりも美術館を 楽しんでいるように見えた […]

夢イリュミナシオン

春べり            宮本誠一

  一 蒸殺   羞恥染む葯袋 憐憫絡む柱頭 怨恨詰む子房 失念蹲む花軸 禁絶極む花柄   獰猛ひた隠しつ 皮相かつ姑息 道化扮すは 着ぐるみ 雑食獣 黙劇の果て パントマイマー 蜜はこにあ […]

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炎              宮本誠一

  ティピーの頂きに 朝日がかさなり 狼煙が静かに 稜線をたどると 雪影は陽炎へ かわっていく   風にあおられた 漆黒のはばたきは 冷えきった肌理へ 痛みと安らぎを もってくる   のっぺ […]