砂              宮本誠一

求めることをやめよ

なぜならそれはもはや求めではないから

求めたときすでに

求めであることをやめている

 

そのような意味で本来求めは

求めようのないものなのだ

 

求めを絶ち

ただ風にたちつくすこと

それのみでいい

求めというものは

この世に存せぬものなのだ

 

求めはせぬほうがいい

求めえることは永遠にないのだから

求めれば求めるほど求めは遠のき

求めは求めでなくむしろ

自分自身をいっそう

くるしめる

 

それでも求める人よ

ならば問おう

なにをしてあなたは求めえたというのか

そのあかしがあるというのか

 

それはある一地点一刹那の

砂塵のまいた気まぐれな

文様にすぎないのではないか

砂塵とはすなわち

あなた自身だ

 

求めが求めであるというあかしは

どこにもないということを

求めえることがこの世に存ぜぬことを

あなたはすでに知っているのではないか

 

あなたが求めを求めたとき

こうしているあいだにも

求めはその姿をかえ

あなたの求めた求めは

遠く彼方へいってしまっている

 

もはや求めは求めでなくなり

苦悶のかたまりにさえなっている

 

求めることをやめよ

求めないほうがいい

なぜならそれこそが唯一の

いまとどまるべき残された道なのだから