意識の奥に感じる四枚の羽が
頭蓋の奥に身を横たえ
息を殺しエゴサーチを待っている
両翼は楔か それとも囲いか
まるで飛び立つ瞬間をはかるように
火の手が蝶道の先にとぐろを巻く
火焔のやどった
灼熱の石棺で身悶えするのはだれか
狂乱する半鐘 深まる硝煙とスパム
壁や天蓋に平伏すであろう蝶たちの影
自転車はどこ
さっきまで乗っていたはずなのに
ラメ色に輝くスポーク
スマートな三角フレーム
滑らかなカーブを描くハンドルとサドル
分厚いチューブレスタイヤに
GPS機能ナビゲーター+
ブラケット式LEDライト
ぼくはこれで旅をするはずだった
ナビに〝石棺〟と入力し
暗闇をライトで照らし
壁の外の住人を探すため
聞こえてきたのは壁の中からの声
すべては無理ゲーだった
その人たちからすれば
島はやがて沈んでしまうのだから
ユーザーの上書き
クラウドソーシングサイトによって
複雑なパターンが追加された果ての
メンブレ
波間へ沈むおぼろなフリ素
崩壊熱で溶け落ちる石棺
泡立つ飛沫と水疱
残照に染まる海原
無着地への着地
透明なガラスの海面が見える
蝶はかじかんだ羽で胴体をつつみ
漣のような輪をひろげ漂流物が羽を掠め
義足や皿や鉛筆 そして額縁
微レ存が漂い分身を埋没させる
額縁は
くるくるアームを光らせ舞い落ち
真っ青な海流が吹き上がってくる
すべて沈みきったとき
稜線の遥か遠くから濁流がやってくる
光と闇が太極で混ざりあい
交点に巨大な渦巻が形成される
羽は動かない
容赦ない衝突に炎上はくりかえされ
エアレーションの光泡が無数に湧いては濁りを消し
紺碧の海へかえていく
微動だせぬ蝶たち
古層の果て
島の東西の岬がむっくりもちあがり
巨大なマンボウが柔らかな皮膚を曝し
両鰭を翼に
オワコンの空へ高々と飛翔するだろう