『ダスト・イマージュ』/その一
ダスト・イマージュ 蒲団の襟を鷲づかみにし下からはねのけると、里子の白い太腿が見えた。下着は何もつけていない。股のつけねのところが暗く陰を持っている。性毛なのか二本の脚が折重なることで出 […]
『ダスト・イマージュ』/そのニ
父親が死ぬと当然生活の重みが女三人の家族にやって来た。 そもそも父親の死は、日曜、職場のソフトボール大会の試合中頭痛がしだし、気分が悪いと倒れたまま会社の系列の産業医へ担ぎ込まれ、検査をしても結局原因は分からぬ仕舞い […]
『ダスト・イマージュ』/その三
「芳弘、お前も最近勉強やってないようだしな。ここにきてそうやって毎日漫画読んでどうするんだ」 大田は、今ぼくの目の前で煙草をくわえながら、やはり、さっきから同じ姿勢のまま座っている。実際、今現在、彼が出なければいけ […]
『ダスト・イマージュ』/その四
少女の名前は井芹京子といい、中学を出たばかりの十五だった。 一人で授業を待っていると、のっそりとした若い男が覗くので、きっとここの教師だと思い、それなりに気を許さず構えの態度をとった。しばらくしてあまりの相手の反応の […]
『ダスト・イマージュ』/その五
「それ本当なのか?」 ぼくが、里子から予備校をやめるつもりであることを聞かされたのは、二人が入学した年も明けた新年早々彼女の家でだった。 「幸い、私の場合授業料分割にしてもらっているから、今度の新学期から辞めるのは都 […]