「共」に「生」きる。 in 阿蘇

16年ぶりに「田原坂」に寄ってみました。菊池市内の小学校に勤めていたとき、担任していた5年生の社会科見学で行って以来です。

    入ってすぐに、弾痕を残した倉があります。   慰霊碑です。小さく彫りこまれた御霊に、当時の戦いの激しさが浮かび上がり、夕暮れの近づいた木立にときおり蜩たちが鳴いていました。(官軍、薩摩軍合わせて4000人が亡くな […]

阿蘇~荒尾の途中下車の定番、国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」へ行ってきました。

       園内は、日差しが少しやわらぎ、涼しい風が吹いていました。「とんぼの里」があって、何匹か飛んでいました。

『海神』・その1

             海 神  敏雄は、操舵を片手で操りながら、節くれ立った指先に力を入れ、握り手で巻き上げるようにスロットルを絞り込み速度が張詰って噴き出してくると、船の舳先にぶつかり二手に割れていく波の音と女たち […]

『海神』・その2

 敏雄たちが博多で荷を下ろし戻ってきたのは、夜の十一時を少し回っていた。英治を家までトラックで送った後、敏雄は孝造の事務所にそれを置き自分の車に乗換え、アパートに帰ってきた。アパートは、かつて炭鉱町として賑わった市街から […]

『海神』・その3

 舳先は、正面から吹く風を切っては上空へ推し上げるようにしながら進んでいった。風は生き物のように二手に分かれ霧のように湧き上がり、各々の顔をなぶりながらまた船尾を過ぎると離れた躯を結び合わせていく。時々海に浮かぶ浮游物を […]