「共」に「生」きる。 in 阿蘇

2009・「夢屋だより」春号 ミヤモッちゃんの最近読んだこの一冊

~『ほんとうの環境問題』(池田清彦、養老孟司)新潮社~
ほんとうに今考えなければならない環境問題とは何か? 
「地球温暖化」は、人類の存続を脅かすほどのホントにホントに深刻な問題? 
現在行われているごみの分別はもっともベストな方法? それらいくつかのことを科学的視点で解き明かしていったのがこの一冊です。
たとえばペットボトルのリサイクルにはムダが多いということ。
わざわざお金とエネルギーをかけて再生してもボトルが白濁して品質が悪くなるという事実。
ほんとうにエコロジカルな利用法を考えるならリサイクルごみとしてすぐには捨てず、自分用の水の容器か何かにして何度も繰り返し使ってから捨てたほうがよほど環境にはやさしいそうです。
また実際にはかなりの量が燃やされているらしく、燃えにくい生ごみといっしょに燃やせば、可燃性もぐっと高くなり効率がよくなります。というのも、水気を含んだ生ごみは重油をかけて燃やしているのが現状だ
そうですから、むしろ分別をしなければ、人手も、金も、むだな時間やエネルギーもいらなくなります。
早い話、なんでもリサイクル、リサイクルに走るのではなく、リサイクルに向くものと向かないものをしっかり考え、いかにムダなエネルギーを生じさせず、再生製品化もしくは再エネルギー化をすすめていくことが重要かを歯に衣きせぬ口調でお二人は説いていきます。
エコロジカルな製品や方法がそこに一つあったとしても、それを生み出すのにどれだけ別のエネルギーが使用されたか、そのことをぬきにして、真のエコなものとは言えないのではないか。やればやるほどムダが出てくるエコもあるということです。
地球温暖化問題でも、養老氏は、かりに人類が地球上の全化石燃料を使ったとして、地球や生命にどのような影響を及ぼすのか、あらゆる計器やパソコン、そして頭脳をつかって本気ではじき出しシュミレーションを示すことから出発せよ、と言います。
ただ温暖化が地球環境を壊している諸悪の根源であるとばかり唱えていては、観念的に不安をあおっているとしか思えないというのです。現代では充分可能なはずのデータや予測をとらず、一時的な現象だけを大きくクローズアップさせる手法に、科学的視点の欠落と危機感を感じずにはいられないようです。
それにしてもどのような口当たりの良いスローガンにも、裏では必ず巨額のマネー(多くは税金)が蠢いているのが現代のようで、我々庶民は、それが果たして本当に意味のある投資かどうかをしっかり見抜く力が必要なことを、この一冊は正面から語ってくれているように思えます。

1件のコメント

  1. おたより、ありがとうございます。宮本様も入選おめでとうございます。お会いできる日を楽しみにしております。

    コメント by 田村 — 2009年5月8日 @ 1:26 PM

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